家族の誰かや親族の誰かが行方不明になり、亡くなったと考えている方がこのページを開いているのだと思います。「行方不明になって7年」「船の沈没などの危険な事件に巻き込まれて1年」が過ぎると、法律上は死亡したと扱うことができます。その方法を失踪宣告と言います。
失踪宣告のメリットは、行方不明者を死亡扱いにすることで財産・保険金を受け取ることができ、残された家族・親族の助けとなることでしょう。また、失踪宣告の他に認定死亡という制度もあり、飛行機事故で亡くなった場合など明らかに死亡したと思われる場合にはこちらが使われます。
行方不明になっていた人を探した結果、死んだことにするのはなかなか悲しいことだとは思いますが、いつまでも帰ってこない人を待ち続けるのも辛いことではないでしょうか。
今回は、失踪した方を死亡したことにする失踪宣告の手続についてお伝えしていきます。
この記事の監修者
振り込め詐欺や銀行員の巨額横領事件などの捜査を担当してきた元知能犯刑事。警察署勤務時代は幅広い事件を担当。 |
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目次
失踪から死亡認定までの期間
死亡したとみなすには、いつから数えて7年なのかという疑問があるかと思いますが、法律上、最後に連絡をとってから7年になっています。最後の連絡を証明する方法は、携帯電話の着信記録・会社の出勤記録などが当てはまります。
捜索願も立派な証拠になりますので、行方不明者がいなくなって警察に届出を出した人は捜索願を証拠にするといいでしょう。
【関連記事】
捜索願の出し方|届出が可能な人と申告すべきこと
捜索願を警察に届け出る際の知識と届出時の警察の対応
死亡したとみなす失踪宣告の2つの種類
失踪宣告には普通失踪・特別失踪があり、行方不明者の条件によって使える時期が変わってきます。
普通失踪
身内が行方不明者を7年探して見つからない場合に家庭裁判所で手続することで法律上では死亡扱いにできます。
(失踪の宣告)
第三十条 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
【引用:民法第30条】
特別失踪
身内が戦争に行った・船が沈没したなどの危難に遭って1年過ぎても帰ってこない場合に使う事のできる制度のことです。
(失踪の宣告)
第三十条
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。
【引用:民法第30条】
失踪宣告の手続と流れ
家庭裁判所で行う手続ができる人・書類・費用などについて説明していきます。失踪宣告の申し込みから手続の終わりまで図で表してみました。
手続するのに必要な書類
失踪宣告をするために必要な書類をまとめてみました。
- 失踪宣告をする申し込み書(家事審判申立書|裁判所・記入例|裁判所)
- 行方不明者の戸籍謄本
- 行方不明者の戸籍の附票
- 行方不明だということを証明する書類(捜索願など)
- 行方不明者との失踪宣告をする申込者との利害関係を証明する書類(戸籍謄本など)
【参考:失踪宣告|裁判所】
失踪宣告をする際の費用
失踪宣告をするための費用は約6,000円かかります。
【内訳】
- 収入印紙800円
- 連絡用の切手代(申込をする裁判所によって変わる)
- 官報公告料4,816円
【参考:失踪宣告|裁判所】
失踪宣告の申立ができる人
失踪宣告を申し込みができる人は行方不明者と利害関係がある人です。
- 行方不明者との配偶者
- 相続人(※1)
- 財産管理人(※2)
- 受遺者(※3)など失踪宣告を求めるについての法律上の利害関係がある人
(※1)相続人について知りたい方は相続人の範囲と法定相続分|国税庁を参考にしてください。
(※2)財産管理人…相続人がいない場合に家庭裁判所から選ばれる人 (弁護士・司法書士など)
(※3)受遺者…遺言によって財産を受けることができる人
【参考:失踪宣告|裁判所】
役所への届出は10日以内に提出
裁判所が審判で失踪を確定すると、「審判書」の謄本と「確定証明書」の入手が可能になります。
これらを役所に持参することで失踪届が受理され、死亡とみなされるわけですが、失踪届の提出には期限があることには注意が必要でしょう。
失踪届は、裁判所が失踪宣告を確定した日から10日以内に届出をしないと受理されません。
失踪宣告をしないで死亡届の受理ができる場合もある
失踪宣告をしないでも特別に死亡とみなされるケースもあります。
東日本大震災の行方不明者
震災での行方不明の場合は特別失踪に該当するため、1年が過ぎないと失踪宣告の手続が認められません。
しかし、特例的に東日本大震災の行方不明者は、失踪宣告の手続をしないでも震災時の状況や成り行きを書いた書類を添えることで死亡届が受理されます。
早く死亡が認められることで、行方不明者の家族に財産・生命保険を早く受け取ることができ、これからの生活を少しでも楽にするための助けとなるでしょう。
認定死亡という方法もある
失踪宣告のほかにも認定死亡という制度があります。洪水などの水難・火事などの火災・飛行機などの墜落事故が起きた時に死体が見つからなくても状況的に死亡が確実であれば、官公庁が調べて死亡認定を行うことをいいます。
第八十九条 水難、火災その他の事変によつて死亡した者がある場合には、その取調をした官庁又は公署は、死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。但し、外国又は法務省令で定める地域で死亡があつたときは、死亡者の本籍地の市町村長に死亡の報告をしなければならない
【参考:戸籍法第89条】
認定死亡と失踪宣告の違い
以下が認定死亡と失踪宣告の違いです。
①死亡の確実性
失踪宣告は、行方不明者が生きているかもしれない可能性がある制度です。しかし、認定死亡というのは官公庁が調査をしているので、ほとんどの確率で亡くなったと考えて間違いありません。
②法律の効果
認定死亡の場合は、行方不明者が生きていることで死亡の訂正がおこなわれます。
一方、失踪宣告は行方不明者が生きていたとしてもすぐに死亡認定を取り消すことができません。失踪宣告を取り消すには、家庭裁判所で失踪宣告の取消の審判が認められる必要があります。
要するに、行方不明者が生きていた場合は、認定死亡より失踪宣告の方が手続に手間がかかるということです。
まとめ
行方不明者が死亡するのは悲しいことです。とはいえ、あなたは行方不明者の分まで生きないといけません。そのために、残された家族・親族に少しでも助けとなる制度として失踪宣告がありますので、使える方は使うことをおすすめします。
失踪宣告についてもう少し知りたい方はこちらもチェックしてみてください。
【参考:失踪宣告をする方法と流れ|見つかった場合の失踪宣告を取り消す方法】
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