捜索願(そうさくねがい) とは、身近な人が家出をしたり失踪したりして、行方が分からず連絡も取れない時に警察に届け出るもので、警察はこの捜索願が届けられると、規則に基づいて捜索活動を行うことになります。
この記事をお読みになっている方の中には、現在行方が分からない方を探してもらえるよう、警察に捜索願を届け出たいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方のために、今回の記事では捜索願の概要や、届出に必要な知識などをまとめていきますので、参考にしてもらえたらと思います。
どんな時に提出するべきなのか、提出すればどんな対応をしてもらえるのかをしっかりと確認しておきましょう。
この記事の監修者
振り込め詐欺や銀行員の巨額横領事件などの捜査を担当してきた元知能犯刑事。警察署勤務時代は幅広い事件を担当。 |
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目次
捜索願の基礎知識
捜索願の正式名称は「家出人捜索願」ですが、2010年に施行された「行方不明者発見活動に関する規則」により、正式名称が「行方不明者届」に変更されました。今回の記事では捜索願と称して解説していきますが、警察に対してはどの名称であっても通用します。
現在は毎年8万人もの行方不明者の捜索願が届け出されており、行方不明となった原因は、家出、夜逃げ、拉致・誘拐事件など様々ですが、そのあまりの届出の多さに警察としても優先順位をつけて捜索に当たらざるを得ない状況となっています。
以下は警察庁が公表している行方不明者の推移になりますが、原則として”捜索願が届け出された数をカウントしているため、実際の行方不明者は10万人以上にものぼると推測されています。
平成27年 平成28年 平成29年 平成30年 令和元年 男性 53,319人 54,664人 54,574人 56,379人 55,747人 女性 28,716人 30,186人 30,276人 31,583人 31,186人 合計 82,035人 84,850人 84,850人 87,962人 86,933人 【引用:令和元年中の行方不明者の状況】
捜索願のサンプルを紹介
捜索願(行方不明者届)のサンプルを紹介します。画像のように、記入自体は別に難しいものではありません。
【引用:行方不明者届出書】
捜索願の届出の方法
捜索願は、誰が、どこに、何を記述して届け出れば良いのでしょうか。以下で解説していきましょう。
捜索願の届出が可能な人
捜索願は、足取りが途絶えた、連絡がつかない、迷子、家出など、探したい人がいる場合には特に料金がかかることもなく届け出ることができます。ただし、初恋の人を探して欲しいというような私欲が絡むものは届出が不可能となりますのでご注意ください。
原則として、行方不明となった方と以下の関係性にある方のみ届出が可能となっています。
- 親権者
- 配偶者
- 後継人など親族や監護者
- 行方不明者の福祉に関する事務に従事する者
- 同居人
- 恋人
- 行方不明者の雇用人
- 行方不明者と親密な関係にある者
捜索願の届出先
警察には”管轄”があるため、行方不明者の情報提供をする先の警察署も定められています。捜索願を届け出る際は、以下の警察署に届け出るようにしましょう。
- 保護者等の住居地の管轄警察署
- 行方不明者の失踪時の住所地の管轄警察署
- 行方不明者が失踪した場所の管轄警察署
ただし、行方不明者の生命に危険がある場合などは、最寄りの警察署から管轄の警察署に至急の手配をしてもらうことも可能です。
緊急の事態には110番通報も検討しましょう。
捜索願の記載事項
行方不明者に関する情報はなるべく確かなもので、多ければ多いに越したことはありません。捜索願の届出の際には、最低限以下の情報は伝えられるようにしておくと良いでしょう。
- 氏名
- 本籍
- 住所
- 職業
- 生年月日
- 体格(身長・体重)
- 身体的特徴(けがや手術の痕、ほくろやできもの等)
- 血液型
- 失踪時の服装
- 本人の所持品
- 失踪した日時と場所
- 本人がよく行く場所
- 本人の薬物の使用歴の有無、精神病の既往歴
- 失踪の原因として考えられるもの
- その他、発見のために参考になる事項
など
※「生存連絡のお願い」を同時に行うことで、本人が発見された場合に警察から連絡をもらえます。
※届出の際には、届出をする人の印鑑と運転免許証などの身分証明書が必要になります。
行方不明者の生命に危険があるような緊迫した状況であれば、自宅に印鑑や身分証明書を取りに帰るよりもまず届出をしましょう。
行方不明者の写真が手元にない場合は、自宅にいる家族などにお願いして警察署に届けてもらい、とにかく届出を優先するのがおすすめです。
捜索願の有効期限
捜索願には有効期限が設けられており、有効期限が切れた後に継続して捜索を行なって欲しい場合には、更新を行う必要があります。
このように有効期限が設けられている理由は、失踪者が見つかった、または帰宅しても警察にその旨を報告しない人が多いためであり、捜索願を提出しておよそ1週間~数ヶ月以内には警察から連絡が入ります。
こうして、まだ行方が分からない方の情報のみ、警察庁のデータベースに掲載され続けることになります。
手配を解除していないと、職務質問や交通違反など警察官と接する機会の度に「行方不明者の手配が出ています」と言われ、説明を求められます。
つまり、実質的には行方不明者の発見に至らない限り、有効期限はないものと考えて良いでしょう。
捜索願が不受理になるケース
以下のような場合で、捜索願を届け出ても不受理とされることがあります。
- 書類上の不備があった時
- 失踪者から不受理届が出されている時
どのような場合であるのか、詳しく解説していきましょう。
書類上の不備があった時
どの重要書類においても同じことが言えますが、捜索願も、個人情報など必須となる情報が書類上漏れていたり、記載内容に誤りがあったり、届出の際に身分証明書と印鑑を忘れた場合は正式に受理されません。
届出時に印鑑や身分証明書を忘れた場合は、後日改めて押印や身分証の提示が必要になります。
ただし、正式受理に至っていなくても捜索・手配は開始されます。形式上の問題よりも人命の方が大切ですから、当然の対応でしょう。
失踪者から不受理届が出されている時
失踪した本人から警察に対して捜索願の「不受理届」が出されていた場合は、警察は後から届け出された捜索願を受理することができません。これは本人が「探さないでほしい」という意思を警察に示すためのもので、警察としては先に届け出ていた本人の意思を尊重しなければならないのです。
ただし、特定の事情がある場合は、関係者による捜索願を受理しない、または受理しても行方を教えないといった対応が可能です。
捜索願が受理された後の警察の対応
正式に捜索願が受理されても、すぐに捜索がなされるわけでも、すぐに見つかるわけでもありません。
警察はすぐに捜索を開始しない
警察は、民事事件に介入できないというルールがあります。つまり、実際に事件があってから、もしくは事件性が非常に高いと推測されるものしか積極的な捜索を行いません。
単なる家出の場合は、まずその家出人のためだけに捜査員を導入することはないと思って良いでしょう。
したがって、捜索願の届出の後には、警察側で事件性や人命の危険度などを考慮し、すみやかに本格的な捜索を行うかどうかを決めることになります。この際、「一般家出人」と「特異行方不明者」に区分されることになります。
警察が捜索できない一般家出人とは
失踪者に家出の意思があり行方をくらました場合は、一般家出人に分類されます。この場合、基本的に積極的な捜索活動は行いません。しかし、警察本部のコンピュータのデータベースに失踪者の写真や情報等が登録され、全国の拠点で閲覧が可能になることにより、日々のパトロール・少年補導・交通取り締まり・閲覧者からの情報提供などにより発見されるケースがあります。
また、失踪者本人が失踪宣告書を残していた場合も、警察は捜索を行うことができません。失踪宣告書とは、失踪者が”自殺の意思もなく誰の関与もないことと「探さないでほしい」という意思を綴った書き置き”のことです。
行方不明者が失踪宣告書を残している場合は、警察による捜索には期待できないので、人探しの専門家である探偵事務所に相談するのが賢明でしょう。
警察が捜索できる特異行方不明者とは
事件や事故によって行方不明になった場合や、人命に危険があると判断した場合は、特異行方不明者に分類され、時間的猶予がないことからすみやかに捜索が行なわれることになります。
《特異行方不明者に該当する条件》
- 他者による犯罪により、生命の危険が生じている恐れがある、または後々その恐れがある者
- 本人の性格や素行や家庭環境などの事情により、少年の福祉を害する危険がある者
- 行方不明前後の行動や事情により、生命に危険を及ぼす事故に遭遇している者
- 異性関係や家庭環境や経済環境などが原因で自殺の恐れがある者
- 統合失調症・精神作用物質の依存症などの精神障害の状態の者
- 銃砲刀剣類、火薬、毒物などの危険物を携帯し、自傷・他傷の危険性がある者
- 13歳以下の子供や高齢者など、本人だけでは生活が困難だと考えられる者
この特異行方不明者が成人の場合は、警察が居場所を把握した場合でも強制的に連れて帰ることができません。ただし、捜索願の提出時に「生存連絡のお願い」をしておくことで、警察が発見した際には捜索願の届出を行なった方のところに連絡が入るようになっています。
警察官による捜索隊が編成されたり、消防などへの協力要請で大規模な捜索が行なわれたりするので、早期発見が期待できます。
警察だけを頼るのは危険です。
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警察が行なってくれる捜索
捜索願が受理され、特異行方不明者と判断された場合には、主に公開捜査、鑑識捜査、警察犬捜査、事情聴取などが行なわれます。詳しい捜索の内容については、以下の記事を参考にしてみて下さい。
【参考:捜索願を警察に届け出る際の知識と届出時の警察の対応】
【関連リンク】
警察庁「行方不明者に関する情報提供のお願い」
警察が捜索を開始してもすぐに見つかるわけではない
家出人の場合は警察が捜索を行なわずとも、1週間以内に大半が発見、帰宅に至っているというデータが出ています。しかし、第三者が関与していると見られる事件や事故の場合は、警察がどれだけ総力を動員しても見つからない可能性があります。
全体の行方不明者のうち85.2%が発見に至りますが、1週間を過ぎると捜索も困難になり、1ヶ月~1年で発見される確率が2.6%、1年以上では2.3%と発見率は低下すると言われています。深刻な場合は、なるべく早く、できれば1週間以内に本格的な捜索に踏み切るべきでしょう。
【参考:令和元年中の行方不明者の状況】
捜索願の提出や実際の捜索活動は無料なので、遠慮なく警察署に出向いて捜索願を提出しましょう。
捜索願を届け出ても失踪者が見つからない時は
警察が捜索に踏み切ってくれない、それでもすぐに捜索を開始したいという時にはどうしたら良いでしょうか。以下に2つの対処法をご紹介します。
探偵に調査を依頼する
探偵はありとあらゆる分野における調査のプロですので、所在調査を依頼することで独自の情報ルートや専門機材などを駆使して迅速に調査を開始してくれます。
この場合、依頼料金は自己負担となりますが、一刻も早く探し出したいという時には、まずは相談窓口から依頼を検討してみてはいかがでしょうか。
実際の探偵業は都道府県公安委員会に届出をして認められた正式な業者なので、安心して依頼できます。警察では手が尽くせないところまで深い調査が可能になることも多く、失踪者発見の可能性が大いに高まるでしょう。
【参考:探偵が行う所在調査とは|所在調査が可能な例と調査料金】
自分でも捜索を行う
一時的な家出の場合には、案外自分で少し捜索しただけで手掛かりが掴めたり、発見に至ったりすることがあります。比較的お金をかけずに、大事にすることもなく探すことができますが、あくまでも緊急性が低い場合や、事件に発展する前の段階の方向けの方法になります。
【参考:人探しの方法10選!誰でも無料でできる方法と探偵に依頼した際の料金】
「どうせすぐに帰ってくるだろう」「事件や事故に遭う恐れはないはずだ」などと軽視せず、警察や探偵事務所への相談も視野に入れておきましょう。
まとめ
事が深刻な場合も単なる家出の場合も、1分1秒でも早く捜索に着手するのが早期発見のポイントです。家族や大切な人の行方が分からなくなれば、誰でも動転して冷静な判断ができなくなるでしょう。
ご自身で捜索することにこだわらず、まずは公的なアンテナを張るために警察への捜索願の届出を行うのが賢明です。
ただし、警察は事件性がない失踪に対して積極的な捜索を行いません。もし、警察の対応に期待できないと感じた場合は、あらゆる調査の専門家である探偵事務所に相談して、早期発見につなげましょう。
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