身内が亡くなり、遺産分割をするとなった時、相続人の行方が全く分からず遺産分割協議が始められないと頭を抱えている人が一定数存在します。
しかし、相続人が見つからないからといって、遺産分割協議が始められないわけではありません。
従来の住所におらず、容易に帰ってこないと推測される者に代わり、家庭裁判所が申し立てによって他の者を不在者の財産を管理する者に任命する不在者財産管理人制度を用いることで、遺産分割協議を不在者抜きで開始することができます。
この記事では、不在者財産管理人制度の申し立て方法について詳しく紹介していますので、気になる方は是非ご覧ください。
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【関連リンク:行方不明者の捜索|捜索される人とされない人・捜索までの手順】
目次
不在者財産管理人の申立方法
不在者管理人を申し立てるには、利害関係人(不在者の妻または夫、相続人に該当するものなど)により不在者の従来の住所地、又は居所地の家庭裁判所に書類を提出する必要があります。
①申し立てに必要なものを用意する
提出の際に必要なものは以下に記載します。
- 必要な費用
- 収入印紙800円分
- 連絡用の郵便切手
- 申立書※1
- 添付書類※2
- 不在者の戸籍謄本
- 不在者の戸籍附票
- 財産管理人候補者の住民票又は戸籍附票
- 不在の事実を証する資料
- 不在者の財産に関する資料(不動産登記事項証明書、通帳コピー等)
(利害関係人からの申立ての場合,利害関係を証する資料〔戸籍謄本、賃貸借契約書写コピー等〕)
※1 書式の記載例はこちらをご参照ください【不在者財産管理人選任の申立書】
※2 場合によっては、追加資料の添付を請求されることがあります。
以上の資料をもとに、適正な人物が不在者財産管理人に任命されます。
②家庭裁判所に提出する
必要事項全てに記載をしたら不在者の従来の住所地、又は居所地の家庭裁判所に上記添付書類全てをまとめて提出します。
そして、家庭裁判所がそれらの書類を精査したうえで、不在事実が本当なのかどうか申立人から事情を聴いたり、不在者の親族に確かめたりします。
この時点で、不在者の所在が分かった場合、申し立てを取り下げなければなりません。
審査の結果、不在であることが認められれば、不在者財産管理人が選任されます。
不在者財産管理人の役割
不在者財産管理人に任命された場合、どのような役割があるのかを説明していきます。
①相続財産の管理
相続財産の管理とは、文字通り、不在者の財産を管理、保存するというものです。
また、不在者の財産を不正に使用した場合、財産管理人を解任されるほか、最悪の場合、損害賠償請求や業務上横領罪といった罪に問われる可能性もあります。
しかしながら、不在者の財産を保存(財産の価値を維持する)する意図で、利用あるいは本来の性質を損なわない程度に改良することはできます。
②財産目録の作成・報告
不在者が保有するすべての資産(土地、現金等)とすべての負債(借入金等)について、区分ごとの一覧にした財産目録を作成し、これを家庭裁判所に報告します。
こうすることで、不在者の財産の不正な流出がないか、監視・防止することができます。
役割の終了
- 不在者が見つかったとき
- 不在者について失踪宣告がなされたとき
- 不在者の死亡が確認されたとき
- 不在者の所有する財産が亡くなったとき、など
これらの事由が発生した時、不在者財産管理人の任が終わります。
不在者財産管理人を設けた当初の目的である、遺産分割協議を終えたからと言って、役割が終了するわけではありません。
不在者財産管理人が必要である場合とそうでない場合
不在者財産管理人制度を利用するか否かは、行方不明の期間によって判断することができます。
不在者の行方不明が7年以上なら失踪宣告制度
不在者の行方不明の期間が7年以上の場合、原則失踪宣告を選択しましょう。
失踪宣告とは、不在者の行方が7年間分からないとき、法律上の手続きを経て、その者を死亡したものとみなす制度です。
こうすることで、相続人の1人が行方不明であるため遺産分割協議を開始することができなかったところ、死亡したものとみなされることで、遺産分割を行うことができるようになります。
不在者の行方不明の期間が7年以上の場合、不在者財産管理人制度も利用することもできますが、不在者財産の管理・維持、家庭裁判所への報告など大変な面が多くあります。
したがって、不在者の生存している可能性が低い場合かつ、行方不明から7年以上が経過している場合、失踪宣告を選択するのがいいかと思います。
【関連リンク:失踪の原因|失踪者が失踪するまでの過程と発見率】
不在者の行方不明が7年未満なら不在財産管理人制度
不在者の行方不明の期間が7年未満の場合、遺産分割協議を進めるためには不在者財産管理人制度しか方法がないので、この制度を利用しましょう。
しかし、行方不明の相続人が見つかりそうであったり、行方不明の期間が短い場合は、不在財産管理人の申し立てはせず、不在者を探したり、帰宅するのを待ってみてもいいかもしれません。
不在者財産管理人になれるのは親族や弁護士
誰が不在者財産管理人になることができるかを説明します。
不在者の親族
不在者財産管理人になるためには、特別な資格などは必要ありません。
不在者財産管理人の申立書に候補者を記入する欄があり、多くは不在者と直接の利害関係にない親族が記載され、そのまま候補者になります。
見ず知らずの第3者に保管されるよりは、知った中である親族にあずかってもらったほうが安全だという心理から、親族が選ばれているのではないのでしょうか。
また、候補者に不在者財産管理人に選ばれた人物は、財産を管理・保存しなければならないため、ある程度の負担を抱えることになります。
したがって、財産を適正に管理している見返りとして、家庭裁判所の判断により不在者の財産から報酬が支払われます。
弁護士や司法書士
また、不在者と利害関係にない親族で、適正な人物がいない場合、弁護士や司法書士といった法律の専門家が不在者財産管理人として選ばれることがあります。
不在者財産管理人を加えた遺産分割協議
不在者財産管理人の権限は、民法103条にもある通り、「保存行為」および「そのものの性質を変えない範囲での利用または改良する行為」です。
したがって、遺産分割協議をしたり、財産を処分したりする行為は財産管理人の権限外の行為であるため、家庭裁判所に別途許可をもらう必要があります。
以下に、権限外行為許可を得るために必要な書類、費用を記載します。
- 必要な費用
- 収入印紙800円
- 連絡用の郵便切手
- 権限外行為となる事項の資料(遺産分割協議案、戸籍謄本等)
不在者を発見したい場合
不在者を探す場合、主に3つの方法があります。
自力で探す
自分で探す場合、行方不明者の住んでいた場所や、その周辺、近所を実際に訪れ、目撃情報がないか聞いてみましょう。
また、SNSに投稿をしているかもしれないので、不在者の名前などで検索をかけてみて、捜してみてもいいかもしれません。
しかしながら、連絡もつかず、普段住んでいる家にずっと帰っていないとなると、この程度の情報からでは探すのが困難で、見つけられる可能性は低いといえます。
警察に依頼
連絡も取れず、自宅にも長期間帰ってないとなると、事件に巻き込まれている可能性があるので、警察に捜索届を出してみてもいいかもしれません。
しかし、年間何千件も捜索願は出されており、なおかつ実際に事件が起きていなければ、パトロールの時間に行方不明者を探すので、行方不明者が見つかる可能性は高いとは言えません。
【関連リンク:行方不明者届とは|行方不明者届の正しい出し方と注意点】
探偵に依頼
行方不明者を探すなら、人探しの経験豊富な探偵に依頼するのが一番おすすめです。
行方不明者を自分で探したり、警察に捜索願を出して探してもらったりする場合と比べると、もちろんお金はかかってしまいます。
しかし、探偵は人探しに特化しており、独自のデータベースや優れた捜索能力を持ち合わせているため、決められた期間に成果を出す可能性が高いです。
まとめ
不在者財産管理人の申し立てを行うには、不在者の利害関係人が不在者財産管理人申立書や、その他不在者に関する書類等を家庭裁判所に送ることで、審査が行われ、任命されます。
また、行方不明から7年以上の時がたっている場合には失踪宣告を選択することもできます。
遺産相続協議が相続人の不在によって滞ってしまっている場合、不在者財産管理人、あるいは失踪宣告制度の申し立てを行ってみてはいかかでしょうか。
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