「裁判をしたいのに訴える相手がどうしても分からない…」そんな状況の方への救済措置として設立された公示送達ですが、どんな時にでも使えるものではなく申請には厳格な基準が設けられています。
この記事では公示送達の許可・不許可の基準について紹介しますので、申請の要件について確認しておきたい場合はぜひ参考にしてみて下さい。
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目次
公示送達の要件
公示送達が認められるかどうかは、下記の民事訴訟法第110条のいずれかの項目に該当するかで判断がされます。
- 当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合
- 第百七条第一項の規定により送達をすることができない場合
- 外国においてすべき送達について、第百八条の規定によることができず、又はこれによっても送達をすることができないと認めるべき場合
- 第百八条の規定により外国の管轄官庁に嘱託を発した後六月を経過してもその送達を証する書面の送付がない場合
引用:民事訴訟法第百十条
小難しい言い回しの法律文だと分かりくいと思いますので、下記で公示送達が認められると判断できる2つの状況を要約して紹介させて頂きますね。
住所・居所・勤務地の確認ができない
訴えたい相手がいても住所が分からなければ訴状を送ることはできません。なので、どんなに調べても相手の住んでいる場所が特定できない状況であれば、公示送達の申請が認められます。
ただし、訴える相手の住所が不明でも勤務地が分かるのならば、住所の変わりに勤務地に送達をする権利が認められているので、その場合だとまず職場に訴状を送っておく必要があるのでご注意下さい。
要約すると訴える相手の住所特定が困難で、相手の職場も知らない・調べらないと判断できる状況なら、公示伝達が認められる条件を満たしていると言えるでしょう。
相手が外国にいて送達が困難
訴えたい相手が海外にいることは分かっていても、以下の事情により個人での送付が困難だと判断される状況ならば、公示送達の申請が認められます。
- 国交の断絶
- 戦乱
- 天災
- 法令の規定
また上記のような状況でなくても、訴えたい相手が海外にいて所在地の確認が困難な状況である場合なら公示送達の申請要件に該当すると判断が可能です。
公示送達が却下されてしまう状況
相手の情報が一切分からない
名前・住所・職業など、訴える相手の個人情報が何も分からない状況だと、そもそも誰を訴えたいのかも分からず裁判の手続きが進められないため、公示送達を申請することはできません。
酔っている時のケンカ相手や家族の浮気相手を訴えたい時などにこの状況に陥ることがありますが、そのような時は自分で周囲に張り込みをして相手が誰であるかを判断できる最低限の情報を用意しておく必要があります。
まだ自分で調査できる余地がある
訴える相手の職場を調べられるのに連絡をしていない、相手の現住所に足を運ばず本当に不在かの確認を怠ったなど、裁判所がまだ自分で調査できる余地があると判断できる状況だと、公示送達の申請は断られてしまいます。
法律上での住所不明の状態とは、市町村役場・近隣者・登記簿等の調査をしても居所を把握できない状態を表すので、公示送達の申請を認めてもらうには念入りに調査をした事実を伝えなければいけません。
上記以外にも事前に取り組んだ方が良い調査は多々ありますが、下記の『公示送達をする前にやるべきこと』で紹介していますのでそちらをご参考に下さい。
裁判でなく調停が目的である
公示伝達とは、裁判所の掲示板に2週間公示をしてその後に裁判を開始できるという制度なので、調停を目的とした申請は対象外として扱われ認められません。
そもそも調停は双方の話し合いでの解決が基本で、住所が分からず行方不明の相手とは成り立たない手続きのため、相手と連絡が取れない場合は調停を諦め裁判に切り替えて手続きを進めていくしかないでしょう…。
公示送達が無効になった判例
不当利得返還請求控訴事件
被告人がデパートで働いているのを知りその本社に対して特別送達をしたが、本社からその販売コーナーは管理外の営業所だと断られ、その後に公示送達を行うが無効となった判例。
参考:平20(ネ)2668号(文献番号 2009WLJPCA01226002)
本社から断られた状況であっても、その販売コーナーの担当者へ直接的に問い合わせれば相手の身元確認をできる余地は十分にあったと判断され、公示送達は無効になりました。
再工事代金等請求控訴事件
被告人が経営する会社の本店所在地及び代表者住所地に特別送達をしたが、返信が得られず、公示送達を行うが無効になった判例。
参考:平25(ネ)106号(文献番号 2013WLJPCA11287001)
特別送達を送った期間に被告人は引っ越しの準備を行っており、実際に代表者住所地に訪れればその事実は確認可能な状況であったと判断され、公示送達は無効になりました。
債務不存在確認等請求控訴事件
被告人の住民票上の住所地に当てて通達をしたが、宛所に尋ねあたらないと通達が自分の元へ返還されてしまうため、公示送達を行うが無効になった判例。
引用:平27(ネ)227号(文献番号 2015WLJPCA07309006)
原告は被告が運営する事業事務所の電話番号・ファックスを知っていて、なおかつ通達をした時にファックスでやり取りがあった事実もあったので、現在の住所を確認できるのは容易な状況であったと判断され、公示送達は無効になりました。
捜索願いを出してもほとんどのケースで探してはもらえません。
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公示送達をする前にやるべきこと
現住所の状況を確認しておく
まず市役所で登録されている現住所の確認を行い、その後に実際に本当にそこに住んでいない状況なのか自分で調査した証拠を用意しましょう。
- ガス・電気の使用状況の写真
- 物や部屋の概観等の写真撮影の写真
- 近隣の住人からの聴取をまとめた報告書
これらの証拠があれば、相手の住所を特定するために十分な捜査を行ったと判断される材料として使えるので、公示伝達の申請が認められる可能性が高くなります。
職場に問い合わせをする
職場への連絡は住所不在の人を探すのに重要な手がかりとなります。もし訴える相手の勤務先を知っている場合は、事前に問い合わせをしておきましょう。
明確な勤務先は分からなくてもどの付近で働いているかが分かるなら、周辺の会社や近隣の人に聞き込みをしてそれをまとめた報告書を必ず用意しておいて下さい。
実際に勤務地を突き止められるかではなく、調査を怠らなかったという事実が公示伝達の申請では重要になるので、例え発見の見込みが薄かったとしても調査だけは絶対に行っておくことをおすすめします。
情報開示を求める(SNSやメアドが分かる場合)
訴える相手のSNSやメールアドレスが分かる場合は、管理会社に情報開示を求めれば登録者情報から身元を割り出すことが可能です。(TwitterならTwitter運営会社、携帯アドレスなら利用しているキャリアの運営会社へ)
情報開示をしてもらえれば登録住所が判明するので、その住所に連絡を取ってそこに訴える相手が実際に住んでいるかどうかの確認を行いましょう。
個人でも情報開示を求めることは可能ですが、専門的な知識が必要とされ手続きも複雑なので、自分ではどうしても難しいという場合には弁護士に代行してもらうことをおすすめします。
まとめ
公示送達は訴える相手の住所がどうしても分からない時に申請が認められますが、客観的に見て個人での調査が難しい状況であると判断されなければ申請を拒否されてしまいます。
事前調査には色々と手間はかかりますが公示送達には欠かせない準備なので、必用であれば探偵や弁護士など外部からの協力も利用して、公示送達が認められる可能性を少しでも高めておきましょう。

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