厚生労働省の2018年のデータによると、65歳以上の高齢者の約7人に1人が認知症と言われています。
【引用:厚生労働省「認知症施策の現状について」】
認知症の症状はさまざまですが、脳の細胞が壊れて判断力が低下してしまうため、徘徊をしたり、徘徊中に事故に遭ったり、認知症の方が車を運転する場合は事故で人を巻き込んでしまったりするリスクがあります。
最悪の場合はそれで命を落としたり、命を奪ってしまったりすることもあるため、家族が責任を持って見守っていくしかありません。
今回の記事では認知症と事故の関係や死亡率、認知症患者を守るために具体的にどのようにしたらいいのかについてまとめました。
この記事の監修者
振り込め詐欺や銀行員の巨額横領事件などの捜査を担当してきた元知能犯刑事。警察署勤務時代は幅広い事件を担当。 |
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目次
認知症患者と事故は密接に関係している
認知症患者と交通事故。このふたつは密接に関係しています。
認知症患者が交通事故に巻き込まれやすい・起こしやすい理由
認知症患者は脳に異常があらわれ判断力が低下するために、重度・軽度により多少の差はありますが、自分がどこで何をしているのか分からなくなります。
たとえば、健常者ならば「道路に飛び出たら危ない」「ここは人が立ち入ってはいけない場所だ」「赤信号だから止まろう」という判断ができますが、認知症患者はその判断ができません。
つまり、健常者よりも危機回避能力がぐんと劣るのです。
認知症患者でも事故を起こせば責任を問われる
以下のグラフは警視庁による高齢運転者が関与した交通事故の推移(令和元年中)です。
都内における交通事故の総件数は年々減少し続け、令和元年は3万0,467件で10年前の半数程度となりました。
その一方で高齢運転者が関与する交通事故の割合は、年々高くなり、令和元年は総件数の18.1%を占めています。【引用:警視庁「防ごう!高齢者の交通事故!」】
高齢ドライバーの数が増加していることに加えて、その多くが認知症を患い判断能力が低下しているのですから、高齢者による交通事故が増加するのは当然です。
事故を起こしてしまった場合、根本的な原因は“病気のせい”です。しかしそれでも、所定の条件を満たしていれば罪に問われます。
危険運転致死傷罪に該当する
車を運転中、事故を起こし、人を負傷させたり死亡させてしまったりした場合、「危険運転致死傷罪」に該当する可能性があります。
「危険運転致死傷罪」は、飲酒運転、ドラッグを吸引しての運転など悪質なドライバーを罰するため2014年に独立して規定されるようになった罪ですが、病気による危険運転も処罰の対象として含まれています。相手が負傷した場合は15年以下の懲役、相手が死亡した場合は1年以上の有期懲役という罰則があります。
たとえ意図的ではなくても、家族が犯罪者になるという事態はなんとしてでも避けたいでしょう。
損害賠償も請求される
刑事責任だけでなく、健常者と同じように民亊責任にも問われることになります。民亊責任とは、個人間において、被害者に与えた損害を金銭で支払わなければならないことです。
たとえば、被害者が事故により1ヶ月間入院することになった場合は、その治療費や、本来被害者がもらえるはずの1ヶ月分の給料額、被害者の車(自転車)の修理費などを認知症患者が支払わなければなりません。
車だけでなく列車事故を起こすこともある
認知症患者が起こしてしまう事故は自動車事故だけではありません。認知症患者が線路に進入して礫死(れきし)した事件もあります。
愛知県大府市で2007年、認知症で徘徊(はいかい)中の男性(当時91)が列車にはねられて死亡した事故をめぐり、JR東海が家族に約720万円の損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は1日、介護する家族に賠償責任があるかは生活状況などを総合的に考慮して決めるべきだとする初めての判断を示した。
この事件は、認知症患者が亡くなっただけでなく、鉄道会社が遺族に対して損害賠償を求めたことでも話題になりました。認知症患者は被害者でもあり、加害者にもなりかねません。
なお、2014年度中に認知症の人が関与した鉄道事故は29件にのぼっており、すでにこうした事件は珍しいことではなくなりつつあります。
【参考:WG「認知症高齢者等による事故等の実態把握に関するワーキンググループ における検討について」】
認知症患者は事故以外でも死亡する確率が高い
認知症患者が徘徊して行方不明になった場合、事故に巻きこまれなくても高い確率で死に至ってしまいます。
発見日 | 生存率 |
当日 | 82.5% |
翌日 | 63.8% |
3~4日目 | 21.4% |
5日目以降 | 0% |
【参考:朝日新聞デジタル│認知症の行方不明、発見遅れで生存率低下 5日以降ゼロ】
認知症患者は判断力に乏しいために自分の体調と正しく向き合うことができず、暑さ対策や寒さ対策がおろそかになってしまいます。その結果体調を崩して衰弱したり、転倒・転落してしまったりして死亡してしまうのです。
認知症患者を事故から守るための対策
認知症患者を事故の加害者にも被害者にもしてはいけません。そのために、家族は何ができるでしょうか。
運転をさせない
自分が事故に遭うだけでなく人を死亡させてしまう恐れがあるため、原則として運転はさせない方がいいでしょう。
本人は嫌がるかもしれませんが、運転免許を自主返納すると返納者に商品券を贈る取り組みを行なっている警察もあります。デメリットだけでなくこうしたメリットもあることを説明して納得してもらいましょう。
また、「身分証明としても必要」と考えて運転免許の自主返納を嫌う方も少なくありません。
運転免許を自主返納すると、運転免許証にそっくりな顔写真つきの「運転経歴証明書」の交付が受けられます。身分証としての効力を持っているので、自主返納をすすめる際には知っておくといいでしょう。
普段から第三者のサポートを受ける
認知症は単なるもの忘れとは違います。高齢だからと軽視せずに、治療のための知識や本人との接し方、事故対策や徘徊対策など専門的なアドバイスを受けながら、家族ぐるみでこの深刻な病気と向き合わなければなりません。
以下のように相談に乗ってもらえる機関もたくさんあるので、有効活用してみてはいかがでしょうか。
【相談機関】
厚生労働省 認知症に関する相談窓口
相談e-65.net
公益社団法人 認知症の人と家族の会
また、家族の誰かが常に付きっきりで見ておくことが難しいという場合は、デイサービスなどの介護サービスを受けるのもよいでしょう。
ひとりで行動をさせない
高齢者は適度に散歩する方が体に良いのでは?と考える人も多いですが、認知症患者の場合は決してひとりで散歩させないことが重要です。
なぜなら、ちょっとした散歩のつもりが徘徊、行方不明、死亡という最悪の流れになってしまいかねないからです。
もしも自宅からいなくなったら、「そのうち戻るだろう」という意識は捨てて、すぐに捜索するようにしましょう。もちろん、まず真っ先に警察に捜索願を届け出ることが大切です。
【捜索願に関する詳しい記事はコチラ】
捜索願の出し方|届出が可能な人と申告すべきこと
まとめ|警察や自力捜索でも見つからない時は探偵に相談を
いま現在、認知症の身内が行方不明であるという方は、まずは警察に捜索願を届け出て、自力でも根気よく捜索を続けましょう。
認知症患者の捜索については以下の記事も参考にしてみて下さいね。
認知症による徘徊で行方不明|1日も早く発見するべき理由と捜索方法
それでも見つからない場合は、探し手を増やすためにも探偵に調査してもらうことをオススメします。
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【関連リンク】
警察庁「行方不明者に関する情報提供のお願い」
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